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教育コーチングの基本的な考え方

「教育コーチング」とは、「傾聴」「質問」「承認」等のコミュニケーション技法を用いて、青少年自身の意欲・能力を引き出し、「自立」を支援する教育メソッドです。「教育」の本来の意味は「educe=潜在しているものを引き出す」です。 教育コーチはこの原点に立ち、「人は育とうとする生き物だ」という信念を持って相手に関わります。 人が本来持っている驚異的な意欲と能力が顕在化します。「coach」とは「馬車」のこと。 馬車は旅人にとって不可欠なリソースです。大切な人(青少年)が目指すゴール(目標達成・夢の実現・自立)に行きつくための、素敵な馬車になろうではありませんか。

青少年の将来の夢や目標は様々です。
しかし、「よりよく生きる」ことを欲しない青少年は一人としていません。
「よりよく生きる」意欲やそのための能力が見られないのは、「無い」のではなく、「邪魔するものがある」だけ。
そんなふうに青少年を見てみたとき、大人の役割が明確になります。
大人の役割は、「子どもの『個』としての自立を支援すること」です。

教育コーチは、クライアントの「自立」
- 「より以上を目指す」「人の役に立つ」
「不完全性の自覚から来るにじみ出る謙虚さを持つ」
という3つの条件を満たし、他者に依存しない状態 -(成果のトライアングル)
という成果を得るために、

「傾聴」
「承認」
「質問」を行います。
(姿勢のトライアングル)

この行動は、
「人は育とうとする生き物だ」
「人は自分の中に答えを持っている」
「人はそれぞれ」
という信念に基づいて行われます。
(信念のトライアングル)

この信念を支えるものが教育コーチのあり方、
「愛情」
「信頼」
「尊重」です。
(あり方のトライアングル)

これが教育コーチングの基本構造です。

「生きる力」を育む「真の教育」を実践したい教育者のために、学習者の「学びの意欲」を引き出したい指導者のために、そして、青少年の笑顔溢れる「真の教育」の場づくりを目指す学校・教室経営者のために、「教育コーチング」はあります。
「教育コーチング」があらゆる教育の現場に気付きをもたらし、教育の原点回帰の呼び水にならんことを、心より願います。

「教」よりも「育」が必要な時代

「家」、「村」、「会社」、「国家」に守られることが安全確実な生き方であった時代、均質な労働力を求められたキャッチアップの高度経済成長時代に相応しい教育は「教」でした。「教」すなわち「知っている者が知らない者に、上位者が下位者に与える」教育は「集団」もしくは「集団の一員にし易い人間」を作るのには絶大な効果を持ちます。しかし、その時代は終焉を告げました。グローバル化、ボーダーレス化が急速に進むこの時代を生き抜き、そして社会をより良い方向に変えて行くのは強い「個」を持った人間です。コーチングは「育」であり、「育」によってこそ、強い「個」を持った人間が育つのです。

強い「個」とは

強い「個」とは、すなわち「人間として生きる力」です。具体的に言えば、自らビジョンを描き、目標を設定し、自分をモチベートする能力「目標設定能力」、その目標達成のための問題を明確化し、知識、情報、他者の協力、そして自らの努力でもってそれを解決する能力「問題解決能力」、自己を知り、自己を軌道修正、コントロールする能力「自己管理能力」の三つです。これらの能力が高い次元で発揮された状態を「自立」といいます。

何かを「得させる」ために、おどす、おだてる、誘導する、褒美で釣るといった行為は、「得させる」という目標は達したとしても相手の「自立」という成果からは遠ざかるばかりです。教える、叱るといった行為も「自立」という観点からは効果的ではありません。相手が自ら「感じる」「考える」「行動する」体験が重要なのです。

そのためには、限りない愛情と信頼、そして時間が必要です。30名、40名という集団を限られた時間の中で指導する学校教育現場をはじめ、様々な教育の場において、一人ひとりに対してこれを実現することは容易ではありません。容易ではありませんが不可欠なのです。そこにコーチングというコミュニケーションスキルを教育者が学ぶ意義があるのです。

「育」が「教」を支える

2004年12月発表の経済協力開発機構(OECD)学習到達度調査(41カ国・15歳対象)で、日本は各分野で平均得点が前回に比して低下、生徒間の学力格差も大きくなるなど、課題が浮き彫りになりました。文科省は日本の学力は「世界のトップレベルとはいえない」との表現を初めて用いるに至りました。
あわせて行われたアンケートでは、数学について「授業が楽しみか」「内容に興味があるか」など関心を聞いた項目すべてで、日本の生徒は肯定的回答が平均以下でした。「数学を日常生活にどう応用できるか考えているか」に「YES」と答えた生徒はわずか12.5%で、平均の53%にはるか及びませんでした。また、学校の授業以外の平均勉強時間については、平均の週8.9時間に対して6.5時間にとどまっています。学力向上の前提となる学習意欲自体が、諸外国に対して乏しいのです。悲しいかな、学力の前提としての興味・関心・意欲が顕在化していないのです。

コーチング、すなわち「育」は、児童・生徒の「本来持っている意欲や能力」を「引き出す」。「ありたい姿」を探求し、そのために必要な手段として自ら「学び」を求める姿勢を学習者は示す。その姿勢があってこそ、「教」は効果を発揮する、すなわち「育」が「教」を支えます。

「育」は「教」の効果を高める、そして「教」によって得た知識は「育」で培われた「生きる力」によって「知恵」に変わる。こうした善の連鎖を創出するための第一歩が、教育者のコーチングスキル習得なのです。

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