アクティブラーニングとは

「アクティブ・ラーニング」について、
中教審への諮問(2014年11月20日 初等中等教育学習指導要領諮問)のなかに簡潔な定義があります。

「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」

実際の授業で、教師がまったく何もせずにいて、このような学習が実現するわけではありません。まずは教師が課題を設定し、生徒たちが主体的・協働的に学習していけるような授業、つまり「アクティブラーニング型授業」をデザインすることから始まります。
避けたいのは、「形」の実践をもってアクティブラーニング型授業だとすること。「自分で考えさせたり調べさせたり、決めさせたりすれば『主体的』な学習」「グループで話し合わせたり、協力して作らせたりすれば『協働的』な学習」…こんな考え方をよく耳にしますが、これでは生徒にアクティブラーニングを強制的に「やらせる」授業であり、生徒にとっては、やることが「聞く」から「作業する」に変わるだけで、相変わらず受動的立場のままです。

真の意味での主体的・能動的な学びを生み出すためには「インストラクション(instruction)」という関わりが必要になります。日本語に訳すと「指示・教示」となりますが、「やらせる」「教え込む」のではありません。学習者が主体的・協働的に行動できるように教材・リソースを提供し、課題を提示するのです。学習者に寄り添う学びの案内人“Guide on the Side”、ティーチャーと言うより教育コーチです。結局は、授業者のこの「あり方(Being)」がアクティブラーニング型授業か否かのカギを握っているということです。

まとめましょう。

アクティブラーニングとは、
自ら課題を発見し、その解決に向けて主体的・協働的に学ぶことである。
授業者は、アクティブラーニング型授業において「インストラクション」する役割を担う。
「知識を教え込む」のではなく「講義・テキスト・ビデオなどのリソースを提供する」。
「課題をやらせる」のではなく「課題を提示する」。

アクティブラーニング型授業を実践するためには、授業者である私たち自身も主体的・協働的な学習者であり続ける姿勢が欠かせません。どのようにしてアクティブラーニング型授業に取り組んでいくか、どのように自分の授業をデザインしていくかを自らに問いを立てながら実践していくことがポイントになってきます。

「教育コーチングをベースとしたアクティブラーニング」とは?

「教育コーチングをベースとしたアクティブラーニング」とは、文字通り、教育コーチングのあり方、考え方、やり方をベースに行う主体的・能動的学習のことです。これを授業に導入すると、「1対多および多対多の教育コーチング」と呼べるような、気づきと学びと発見、成長と喜びに満ちた授業が実現します。
特長は大きく3つです。

  1. 「4つのトライアングル」に基づく展開

    授業者は4つのトライアングルに基づいて授業をデザインし、コミュニケーションを実践します。
    もちろん一切教えてはいけないわけではありません。「成長段階別コーチング」と呼ぶ理論に基づいて「教(Teaching)」と「育(Coaching)」のバランスを調整しながら、究極的には「教を必要としない授業」を目指して、生徒とともに授業自体を発展させていきます。

  2. 信頼の構築による安心安全の場創り

    アクティブラーニング型授業において、授業者と学習者との間に「信頼」が不可欠であることは言うまでもありません。この「信頼」は、6+1=計7種類の信頼の集合体です。

    1. 授業者の学習者に対する信頼
    2. 学習者の授業者に対する信頼
    3. 授業者の自分自身に対する信頼
    4. 学習者の自分自身に対する信頼
    5. 授業者のAL(教育コーチング)に対する信頼
    6. 学習者のAL(教育コーチング)に対する信頼
    7. 学習者同士の信頼

    授業者は、様々な配慮・工夫に注力し、(1)(3)(5)の向上を図ります。(2)(4)(6)(7)は、(1)(3)(5)の向上に伴って高まってきます。

  3. 「対話」と「内省」の重視

    双方向の「対話」を基本構造とします。学習者は「受信者兼発信者」であり、「正確に受け取ること」だけでなく「発信のために判断し、思考し、表現すること」が重要な仕事になります。その仕事は、「自分が何をどのように受け取ったか、受け取らなかったか」「どのように判断し、どのように思考し、どのように表現し、それがどのような影響を与えたか」を客観的に見る目が育つことで質の高いものになります。つまり「内省(=reflection)」の力が重要だということです。
    アクティブラーニングの本質は対話と内省であるといっても過言ではありません。

    1. 授業者と学習者が、あるいは学習者同士が対話できる
    2. 学習者が内省できる

    この2つの条件を満たす授業環境創りに、授業者は意図を持って取り組みます。その取り組みの基本が「教育コーチング」の活用であるわけです。

授業者が教育コーチングを活用した対話を実践し続けていると、学習者同士も教育コーチングの「傾聴・質問・承認」を習得・実践するようになり、それに伴ってクラス全体の意欲・主体性・能動性が高くなっていきます。
カール・ロジャースがこんなことを言っています。「自分について関心を持たれている、大切にされている、認められている、理解されている、愛されている、と実感したとき、人は自己成長力を発揮する」。教育コーチングをベースとしたAL型授業は、まさにそれが実感できる授業です。

「アクティブ・ラーニング」=教育コーチングでは”active learning”をひとまとまりの語と見なし、「アクティブラーニング」と表記します。文部科学省、中央教育審議会等の文書においては、外国語を日本語に訳す時の慣習に従い「・」を入れて表記されています。

対話:「双方向かい合って話し合うこと」「伝え合い、聴き合う」こと。類義語である「会話」よりも真剣で、意図(例えば、「理解し合おう」「一緒に答えを探究しよう」など)を持った状態での言葉のやりとり。