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教育コーチングとは

JYDA主席研究員小山英樹が語る教育コーチング

―「教育コーチング」って、いつ、どんなふうに生まれたのですか?

生まれたというより、「教育」の本来の意味や機能に、徹底的にさかのぼって出てきたという感覚ですね。1999 年から塾の中で、「伸びる子ども」「成果を作る子ども」に焦点を当て、その子の先生や親御さんがどんなコミュニケーションをしているのかという研究・分析を始めたんですね。浮き彫りになってきた特徴は、見守る、話を聴くといった信頼に基づくコミュニケーションでした。人の成果や成長、その前提となる努力やチャレンジには、信頼に裏打ちされた安心感が必要であることが明確になったのです。そんなコミュニケーションをベースに、当時学んでいたビジネスコーチングや能力開発メソッドの要素も取り入れながら体系化し、授業の中で他の先生たちと一緒に実践してみたら、驚異的な成果が出た。それがスタートです。

教育コーチングの原点と言うべき書籍
「子どもを伸ばす5つの法則」(2004年PHP研究所)

教育コーチング専門誌
『Papa・Mama-Coach』創刊号(2007年)

―失敗はありませんでしたか?

ありました。もともと私は「コーチ」よりも「ティーチャー」の要素の強い人間です。信頼するどころか疑ってかかる、見守るどころかすぐに手を出す、話を聴くどころか教え諭す、そんな指導法でやってきた人間です。ですから、自分で体系化しておきながら、そのメソッドがうまく使えない。「勉強しろ!」とは言わないが、「勉強します!」と言わせようという、誘導的なコミュニケーションになっていました。結果として、行動が起きなかったり、反発や逃避を招いたり・・・・・・。

―「教育コーチング」とは、一言で表現すると?

「人が育つコミュニケーション」ですね。教育コーチングを習得しようと学んだ人(教育コーチ)も、 その人に教育コーチングを受けた人(クライアント)も「育つ」んです。

―「育つ」とは?

「欲しい物や実現したい世界に近づいた」「なりたいと思う自分に近づいた」という成果や成長が得られる状態が「育つ」ことですが、究極を言えば「『本物の人間』に近づくこと」ですね。

人は育とうとする生き物である。
「邪魔するもの」を取り除けば、自らの育ちが始まる。

―「本物の人間」とは?

いろんな定義ができるかと思いますが、教育コーチングでは、3つの条件を満たした状態を言います。

①「より以上」を目指して生き続ける人である。

「より以上」の世界をイメージとして描き、「より成長したい、より貢献したい」さらには「より幸福な世の中にしたい」と願うことができる、そしてそこに向かって主体的に(強制や恐れなどの外的コントロールなしに)行動できる生き物は人間だけなんですね。

②人の役に立つ人である。

自分の安全を守ったり快楽を得たりすることは、ほかの生き物にもできます。「人のために」、しかも利害抜きで行動することができるのが人間の本来持っている素晴らしさです。

③不完全性の自覚から滲み出る謙虚さを持っている人である。

①②の状態であると、人から尊敬されたり、感謝されたりするようになりますが、そこでこの3つめの条件が重要になります。不完全性の自覚があってこそ①②の人であり続けることができます。進めど進めどたどりつけないのが「本物の人間」でしょうが、それでも目指し続けることが「育つ」ことなんですね。

―「教育コーチング」で、みんなが「本物の人間」に近づくのですか?

様々な教育メソッドやコミュニケーションメソッドが万能でないように、「教育コーチング」も万能ではありません。だから「みんな」とは言えないですね。けれど、「教育コーチング」を学んだり、触れたりした人たちの変化には、「本物の人間」に近づいたと言える事例がたくさんあります。

―変化の事例を教えてください。まず、「教育コーチング」を学んだ人の変化は?

先生方の場合だと、「生徒が勉強するようになり、成績が上がった」「生徒の気持ちがつかめるようになった」「生徒の話を聴けるようになり、生徒がどんどん話してくれるようになった」という変化が多いですね。「何事にもチャレンジできるようになった」とおっしゃる方も。
たとえば、個人塾の塾長さんのケースです。教育コーチングを学ぶうちに、自分が本当にやりたいことやその可能性に気づかれました。以来、塾のクオリティが格段にアップし、生徒数も増えまし

た。塾を法人化され、県外進出の準備も進めておられます。また、教育コーチングトレーナーの資格をとられ、電話による教育コーチングセッションや、幼稚園、PTA などでの教育講演会・セミナーを展開されるなど、地域社会に多大な貢献をされるようになりました。「教育コーチングで人生が変わった」と常々おっしゃっています。親御さんの場合は、「子育てが楽しくなった」「怒らなくなった」「子どもの笑顔が増えた」とおっしゃる方が大多数。「急に子どもが勉強するようになって驚いた」という声も。なりたかった親に近づいた喜びの報告電話やメールをいただく瞬間は、私自身も感動します。

―「教育コーチング」を受けた人の変化は?

小・中学生の場合は、まず会話や表情、生活態度に変化が表れ、勉強量が増え、成績が上がっていきます。「奇跡の合格だ!」と先生や親御さんが驚愕するような事例は枚挙に暇がありません。「まぁこの程度の大学に受かればいいや」と考えていた高校生が、本当に行き
たい難関大学や学部に挑んで合格したり、「どうせ俺はダメな人間だ」と決めつけて引きこもっていた若者が、自分の可能性に気付いて社会に飛び出したりといった、「自分で創り出していた限界」に気付いてそれを乗り越えるケースが多々あります。周囲の人に感謝する気持ちが増す、自己承認・他者承認ができるようになる、人の支援ができるようになる、といった変化を見せてくれる若者もたくさんいます。

―「教育コーチング」は、やはり「教育」の世界に特化しているのですか?

そのコンセプトでスタートしていますので、教育コーチングを学び、実践している人の多くが教育関係者や親御さんです。全国教育研究所連盟・民間教育研究所連盟の研修をはじめ、各地の教育委員会、学校、塾に招かれて教育コーチングの講座を行うことも多々あります。
一方で、一般企業の経営者・管理職・人事担当者、ニート・引きこもり支援の関係者、医療・看護関係者、老人福祉や介護関係者、そして野球・サッカー・バスケットなどのプロスポーツの指導者や選手まで、人と関わる様々な業種・職種の方々に学んでいただいているのも1つの特徴です。「ミス日本」に出場するお嬢さん方の研修にも教育コーチングを用いた講座があるのですが、開講以来4 年連続で受講者が「グランプリ」を獲得するとともに、入賞者の80% 以上を受講者が占有するという状況です(2012 年現在)。「教育コーチングの研修で本当の自分に出会えた」「不安や恐れが無くなり、素の自分を認めることができた」といった受講者の感想から、教育コーチングの底力を感じます。

国立教育政策研究所に招聘され、教育関係者のためのコーチングプログラムを共同開発。
研究成果は『調査研究報告書』(20 0 6年国立教育政策研究所)にまとめられ、全国の教育研究所・教育センターに発信された。

―具体的に、「教育コーチ」は相手に対して何をするのですか?

「コーチ」と聞けば、スポーツの指導者、特に鬼コーチをイメージされる方も少なくないと思います。「教育コーチング」は指示・命令したり、強制したり、怒鳴りつけたりしません。極限まで「~させる」(コントロール)を手放して、「する」「できる」よう「支援」します。「傾聴」「質問」「承認」が具体的なコミュニケーションの3 本柱ですが、「フィードバック」「提案」「リクエスト」もします。

―「傾聴」「質問」「承認」で、ほんとうに人は成果や成長を実現するのですか?

はい。それが面白いところです。「~しなさい!もししなかったら・・・」と、教えたり、命じたり、脅したりしても行動しなかった相手(クライアント)が、「傾聴」「質問」「承認」で関わると行動を起こし、成果や成長を実現するんです。ただし、単なる会話術として「傾聴」「質問」「承認」するのではなく、根っこに「人は育とうとする生き物だ」「人は自分の中に答えを持っている」「人はそれぞれ(一人ひとりが独自の個で ある)」という、人に対する信念を持っておく必要があります。

―まだ「教育コーチング」に触れていらっしゃらない先生や親御さんに一言

これまでやってこられたコミュニケーションや教育を否定するつもりも変えるつもりもまったくありません。今お持ちのやり方に「幅を作る」という感覚で、是非触れてみていただきたいです。子どものやる気に火がつきます。青少年の生きる力がよみがえります。

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