冨永さおり氏 (外国政府機関勤務)

「英語が話せて羨ましい!私も留学すればよかった」このような賛辞は、英語力を日々の暮らしの中で自分に足
りないもの、けれども一朝一夕では身につかないものとして認識しているからこそ口に出るものなのしょう。
長期の留学で身につくものとして外面的にわかりやすいのは「英語力」です。

しかし、「留学すれば英語がペラペラになる」という方程式は成り立たないことを、留学経験者は知っていま
す。英語力は、英語を介して知りたいこと、知らなければならないこと、伝えなければならないことがあった
からこそ、「生きる力」として身についたものだと思っています。マンツーマンの英会話レッスンであって
も、課題として出されるトピックについての知識や関心がなければ「話すことが無い」状況となり、英語力は
一向に伸びないでしょう。

高校生という多感な時期に、欲しいものは不自由なく手に入る日本での暮らしから、主張しなければ自分とい
う人間を理解してもらえないという環境に身を置くことは一種の修行とも言えます。自身がどのような人間
か、否が応でもでも向き合い、周囲にいる人々の優しさと支援に感謝しながら「こうありたい自分」に近づく
ために生きていく。そのような1年となるでしょう。

私は留学を通して、自身の言動や感情を振り返り、目指すもの、望むものを明確にする「内省力」、そして周
囲おける自身の役割をモニターする「客観性」が身に付きました。それらの力は現在、日本と海外を深く理解
していることが求められる国際機関での勤務に生かされていると感じています。

 

 

 

 

 

 

 

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