上月 光氏(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ジュネーブ本部勤務

「きみはだれ?どこにゆくの?」自分にとって、アメリカへの高校交換留学とはいったい何だったのだろう?
この問いへの答えを、それから30年が経った今日、常々噛み締めているように思います。

アメリカでの1年間に何を身につけたのか、何を学んだのか。それはもちろん英語が飛躍的に上達し、その後日本
の大学を出た後も、外資系の企業で働いたり、アメリカの大学院で修士号をとり、今日スイスになる国際機関で
勤務していることからも、あの1年なくして今日の自分は無かったと実感するものです。

ただ、それは単純に英語が出来るようになったからではなく、自分にとって一生かけて関わりたいことは何か、
そのままにしておけない世界の問題は何か、自分はどんな人間なのか、を考える1年があったからだと言えます。

アメリカの田舎で感じた貧困や偏見、自分はどんな人かをゼロから周りの人に知らしめないとならない日々。ア
メリカの高校での1年間で常に自分の心にあった思いは、自分は何ものなのか、日本とはどんな国か、自分はどこ
に向いたいか。多感な青年時代に、目の前にその問いを突きつけられた日々こそが、1学年間のアメリカへの高校
交換留学の残した財産だと感じています。

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