かけはし vol.12
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水6「感謝の想い」を届けにいく国際ボランティア~日青協を支える人々の活動~ 自主性を重んじるさくら国際高等学校(以下、さくら国際)では、国際ボランティアへの参加は希望制だ。不登校などの課題を抱える生徒も多いが、自発的に「海外に行ってみよう」という生徒たちがワクワク半分、不安半分の表情で成田空港に集合した。今回は生徒たちに、日青協の「ラオスの子どもたちにサッカーボールを届ける」というチャリティ活動に協力してもらった。私から生徒一人ひとりにサッカーボールを手渡し、「自分の手で届ける」ことを実感してもらい、ラオスに向けて飛び立った。 初めて迎えたラオスの朝。生徒たちは早起きして、人生初の托鉢体験。信心深いラオスの人々は、托鉢に来るお坊さんたちに食べ物を寄付する。食べきれないほど集まった食べ物は、貧しい人たちにも与えられていく。こうした人々の日常的な善意により、「世界で最も貧しい国」と言われながらも飢えはない。 初日、生徒たちは日本大使館を表敬訪問した。ダンス部がパフォーマンスを披露し、ラオスの若手歌姫であるアリタさんの歌に合わせて踊るコラボレーションも実現した。そして、フランス植民地時代に建てられた凱旋門や迎賓 いよいよ、さくら国際が建設したナーノック村小学校を訪問する日が来た。この日から横浜国立大学(以下、横国大)のボランティアサークルFUNのメンバーが合流。元々は4日目に訪問するナードン村小学校建設でのボランティア活動が目的だったのだが、さくら国際の長きにわたるラオスでの活動をぜひ参考にしたいということで、今回同行することとなった。 小学校に到着すると、熱烈な歓迎を受けた。村の人々のあふれる笑顔と感謝の想いに、さくら国際の生徒たちからも自然と笑顔がこぼれた。 2015年に建設をスタートしたナーノック村小学校は既に校舎が完成し、村の子どもたちが元気に学んでいるが、今回の訪問に合わせて譲渡式が執り行われ、「バーシー儀式」で生徒たちを歓迎してくれた(※)。 その後は恒例の「ミニ運動会」で現地の子どもたちと親睦を深めた。あめ食い競争や障害物競走などで大いに盛り館、ラオスを代表する仏塔タート・ルアンを観光した。 その後、ビエンチャン市内にあるハッケオ小学校を訪問した。ここは設備も整っており、日本の小学校と比べても遜色ない都会の学校だ。これまで「ラオスに学校を作ろう」運動を通じて小学校を建ててきた村々との貧富の差をあらためて感じることになった。 ハッケオ小学校ではコーラスの歓迎を受け、さくら国際の生徒たちもダンスを披露して感謝の気持ちを伝え合った。サッカーボールをプレゼントした後、あやとりやコマ廻し、お手玉、折り紙といった日本伝統の遊びで交流を深めた。※:バーシー儀式正確には「バーシー・スー・クワン」と呼ばれる、人生の節目や歓迎、送別、快気、厄払い等歓迎の際に実施される儀式。村人総出で数日かけて祭壇の飾りや料理などを準備するのが一般的。 日本青少年育成協会(以下、日青協)の荒井裕司副会長が理事長を務めるさくら国際高等学校(長野県上田市)では、隔年でラオスへの国際ボランティアを実施している。1996年以来「ラオスに学校を作ろう」運動を続けている同校は、これまでに8つの小学校を現地に建ててきた。 経済的・物質的に豊かな日本では、その豊かさゆえに生きる本質を見失い、苦悩を抱えている子どもも少なくない。人間にとって本当の幸せとは――。物質的に貧しくても笑顔で明るく暮らしているラオスの人たちの姿は、そんなことをわれわれに考えさせてくれる。 2018年8月の修学旅行に同行した日青協の本田恵三事務局長が、その模様をレポートする。 3日目1日目2日目ささくくらら国国際際高高等等学学校校国国際際ボボラランンテティィアア旅旅行行記記2018年8月22日  ~8月28日火特集

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