教育コーチの徒然なる読書日記4

教育コーチのGです。

 第4回徒然読書日記は『今日は死ぬのにもってこいの日(著者:ナンシー・ウッド)』です。
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 この本において著者のナンシー・ウッドは、インディアン(ネイティブ・アメリカン)の一部族であるタオス・プエブロの古老たちに私淑して、その生き方に感銘したことを、短い叙事詩として表現しています(訳者あとがき)。

 原題は『MANY WINTERS』ですが、『今日は死ぬのにもってこいの日』という邦訳の題は大変インパクトがあります。また、この本は多くの書籍に引用されていることからも、人に与える影響の大きさがうかがえます。

 さて、この本の味わい深さは、読む人が自分なりにその意味を考え、自分自身にどう生かしていくかという所にあると思いますので、ぜひとも手に取って読んで頂きたい(1時間もあれば読めます)のですが、特に、印象的なものをご紹介します。

≪おまえはきく、冬はなぜ必要なの?
 すると私は答えるだろう、
 新しい葉を生み出すためさと。≫

≪お前はわたしに言う、
 去年という年に住むご老人よ、
 昔の歌を歌うご老人よ、
 目を覚まして
 現実の世界を見てごらんなさいと。
 私はおまえに言う、
 どこにも住んでいない若者よ、
 雑音しか聞くことのできない若者よ、
 世界はわたしの内部で育ってきた、
 だからわたしは歳月とともに豊かなのだ。≫

≪人生について
 私はお前に何を語ってやれるだろう?
 なんにも。
 私の答えは、わたしだけのもの。
 お前には通用しないだろう。
 樹木と同じで、私たちは共通の根を持っている。
 ところがその育ち方の違うこと!≫

≪たとえそれが、一握りの土くれであっても
 良いものは、しっかりとつかんで離してはいけない。
 たとえそれが、野原の一本の木であっても
 信じるものは、しっかりとつかんで離してはいけない。
 たとえそれが、地平の果てにあっても
 君がなすべきことは、しっかりとつかんで離してはいけない。≫

≪今日は死ぬのにもってこいの日だ。
 生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。
 すべての声が、わたしの中で合唱している。
 すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやって来た。
 あらゆる悪い考えは、わたしから去って行った。
 今日は死ぬのにもってこいの日だ。
 わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。
 わたしの畑は、もう耕されることはない。
 わたしの家は、笑い声に満ちている。
 子どもたちは、うちに帰ってきた。
 そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。≫

また、この本にはオリジナルの英文も掲載されているので、
こちらも併せて読んでみると、より味わい深いものになります。

 Yes,today is a very good day to die.

さて、この言葉、みなさんはどう感じましたか。

わたしは、このような言葉を、いつでも何気なく口にできるような、そんな人生を歩んでいきたいと思っていますし、教育コーチとして、そのような人生を歩みつつあります(という言葉で、自分に暗示をかけています)。

そう、今日は教育コーチとして人とかかわるのにもってこいの日だ。

 Yes,today is a very good day to do with people as an educational coach .

教育コーチの徒然なる読書日記3

教育コーチのGです。

 第2回徒然読書日記は「『原因』と『結果』の法則(著者:ジェームズ・アレン)」です。
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 この本は、100年以上前にジェームズ・アレンによって書かれたものですが、
現在でも十分にインパクトのある内容となっています。
 私にとっては、これまでに読んだ中でベスト10に入る、偉大であり大好きでもある本です。

 その珠玉の言葉をいくつかご紹介します。

《私たちは、文字どおり、自分が考えているとおりの人生を生きているのです。
 なかでも人格は、私たちがめぐらしているあらゆる思いの、完璧な総和です。》

《私たちは、自分自身の思いによって、自分をすばらしい人間に創りあげることもできれば、
 破壊してしまうこともできます。》

《私たち人間は、強さと知性と愛を備えた生き物です。
 と同時に、自分自身がめぐらす思いの主人なのです。》

《私たちは、自分が望んでいるものではなく、自分と同種のものを引き寄せます。》

《私たちの運命を決定する神は、私たち自身の内側にいます。》

《人々の多くは、環境を改善することには、とても意欲的ですが、
 自分自身を改善することには、ひどく消極的です。
 彼らがいつになっても環境を改善できないでいる理由が、ここにあります。》

《私たちは、良い結果に狙いを定めながらも、
 その結果と調和しない思いをめぐらせることによって、
 その達成を自ら妨害しつづける傾向にある》

《この宇宙を動かしているのは混乱ではなく秩序です。》

《勇気と信念に満ちた思いは、速やかに決断し、行動する生き方として、
 つづいて自由と成功と豊かさに満ちた環境として姿を現します。
 活気にあふれた思いは、前向きで積極的な生き方として、
 つづいて喜びに満ちあふれた環境として姿をあらわします。》

《人間を目標に向かわせるパワーは、
 『自分はそれを達成できる』という信念から生まれます。》

《理想を抱くことです。そのビジョンを見つづけることです。
 あなたの心を最高にワクワクさせるもの、
 あなたの心に美しく響くもの、
 あなたが心から愛することのできるものを、
 しっかりと胸に抱くことです。》

《気高い夢を見ることです。
 あなたは、あなたが夢見た人間になるでしょう。
 あなたの理想は、あなたの未来を予言するものにほかなりません。》

《自己コントロールは強さです。
 正しい思いは熟練技能です。
 そして、穏やかさはパワーです。》

などなど。

 このように、ジェームズ・アレンは一貫して、
人間はその人が抱く思いによって型創られていくのだということを説いています。

《私たちの人生は、
 ある確かな法則にしたがって創られています。
 私たちがどんな策略をもちいようと、
 その法則を変えることはできません。
 『原因と結果の法則』は、
 目に見える物質の世界においても、
 目に見えない心の世界においても、
 つねに絶対であり、
 ゆらぐことがないのです。》

 「原因」とはその人が抱く思いであり、
「結果」とは人格であり、環境であり、人生そのものです。

 では、このような「思い」をめぐらせるためにはどうすればいいのか。

 教育コーチングには、このことに対する一つの明確な信念があります。

 それは、「親力向上セミナー」における、もっとも重要なプログラムの一つであり、
「人生航海図」でも大切に扱う【自分を許す】です。

 「環境のせいにしてしまう自分はダメなやつだ」とか、
「これまでの失敗はもう取り返しがつかない、人生台無しだ」などと、
自分自身や自分の過去を否定してしまっては、
その自分自身を否定する「思い」が環境や人生を作り出し、
さらに深い深い澱みに嵌まってしまいます。

 自分自身、さらには自分の過去としっかりと向き合う、
そしてしっかりと受け止める。
 そうすることにより、そこから新たな思いを創造していくことができます。

 さあ、【自分を許す】ことから「思い」を創り出していきましょう。

教育コーチの徒然なる読書日記2

教育コーチのGです。

 第2回徒然読書日記は「クリティカルシンキング《入門篇》(著者:E.B.ゼックミスタ、J.E.ジョンソン)」です。
(この本は、超介さんのリクエストに絡む内容だと思います。)
 クリティカルシンキング(以降、「クリシン」と言います。)関係の本は多数出ていますが、この本により、クリシンという言葉が一般に知れ渡るようになったようです。
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 「クリティカル」というと批判的という訳語が与えられていますが、クリシンは批判的というよりも、人が陥りやすい思考のワナや思い込みなどに光を当て、できる限り事実に近づこうとするアプローチであると考えてください。

 さて、《出来事の原因や、人々の行動の理由を推測すること》これを原因帰属と呼んでいますが、人は原因帰属をする際に、《その人を取り巻く周囲の状況からの影響を軽視し、その人が個人的にもつ性質(性格や能力など)の影響を重視しがち》であり、これを「基本的帰属錯誤」と呼んでいます。
 人間関係において生じる早とちりや誤解の多くはこれを原因としているとのことです。ただし、原因や理由が個人にないと言っているわけではなく、人は原因を個人に帰属しがちであることを著者は指摘しています。

 この「基本的帰属錯誤」をコーチングにどう活かしていけばいいのか(どんな本を読んでも、どうコーチングに活用しようかと考えることにしています)。
 例えば、クライアントが行動を起こさないからといって、そのクライアントの性格や能力に原因を帰属するのではなく(基本的帰属錯誤に陥らないように)、なにか「邪魔するもの」があるのではないかと考えてみる。そして、クライアントの事実に焦点を当てる。
 これらは、すでに教育コーチングでも、ECTP等の講座で繰り返し伝えていることですが、再度、自分自身のコーチとしてのあり方を見つめ直す機会にできるのではないでしょうか。

 次に、原因帰属をする際に、人は因果関係をその根拠とすることが多いのですが、ここにも思考のワナが潜んでいます。
 《因果関係を立証する基準は、共変関係、時間的順序関係、もっともらしい他の原因の排除の3つ》が必要になるのですが「共変関係(相関関係)」があるだけで、人はそこに因果関係を見出してしまいがちです。

 この例として、《小学校高学年の児童においては、国語の学力テストの得点と、生徒の髪の毛の長さの間》には、弱い正の相関(一方が高くなれもう一方も高くなる)があるが、国語の点数と髪の毛の長さは因果関係にはなく、隠れた他の原因(第三変数とも言う)が存在していることをあげています。

 《全体として考えれば、髪の毛が長いのは女児》であり《この年齢では女児の方が言語能力に優れていると考えられている。》ことから、第三変数として「性別」が存在していることが分かります。

 他にも共変関係はあるが因果関係がない例として、
《ある都市での月別のアイスクリームの販売総量と犯罪発生率》
《都道府県ごとの牛の総頭数と、その県で博士号をもつ人の数》
《人の体重とその人のボキャブラリーの豊富さ》
などがあげられています。

 さて、この因果関係における《相関の錯誤》はどのようにコーチングに応用することができるでしょうか。これは、徒然日記を読んでくださっている、皆さんご自身で考えてみてください。

 この本では、《すっぱいブドウの合理化》《自己ハンディーキャッピング》《利用可能性ヒューリスティック》など、まだまだ沢山の興味深い、さまざまな思考のワナが紹介されているのですが、今回の徒然日記はここまでで終了です。
 また機会があれば、続編も徒然に書いてみたいと思います。

教育コーチの徒然なる読書日記1

新しくブログライターに加わったGです。
徒然なるままに読んだ本についての読書日記を書き綴っていきます。

 第1回目に取り上げる本は、言わずと知れた?「子どもを伸ばす5つの法則 やる気と能力を引き出すパパ・ママコーチング(著者:小山英樹)」です。
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(読み込んでぼろぼろになったマイブック)

 この本には、現在の教育コーチング理論を確立する元となった考え方や、著者である小山トレーナー(以降、「たびさん」と言います。)の成功談や失敗談などがふんだんに掲載されており、すでに教育コーチである方々やこれからコーチを目指そうと考えているみなさんにとって、そして、お父さんお母さんにとっても必読の書です。
 私がこの本に出会ったのは2006年ですが、当時高校の教員であった私は「これこそ、自分が探し求めていた本物の教育だ!!」と感動したことを今でも覚えています。

 さて、まず最初に、マラソンの小出監督やプロ野球の故仰木監督などを例にとり、名コーチといわれる人たちに共通したあり方とは何なのかというところから話が始まります。《名コーチに共通していえることは、自分の考えや技術を「教える」よりも、選手の個性と自主性を大事にして、持っている能力を「引き出す」のが上手だということ》このようなあり方は、まさに教育コーチングが目指すコーチ像であるといえます。

 では、どのようなコーチなら、相手の能力を「引き出す」ことができるのか。このことについて、たびさんは本の中で《相手はもともとすべてを持っている人だ、できる人だ》という考えが前提になると言っています(現在の教育コーチングの言葉では「信念のトライアングル」としているものになります)。このような前提に立って、よく聴き、受け入れ、しっかりと承認をすることにより、能力が引き出されていくわけです。もちろん、そこには聴く技術や質問する技術も必要になってきます。この技術についてはここでは触れませんが、本を読み込んでいただいたり、ECTPなどの教育コーチング講座受講したりして、身につけることが可能です。

 まだまだご紹介したいのですが、キリがなくなってしまうので、本の中に出てくるたびさんの言葉で、特に印象的なものをいくつか抜き出して、今回の徒然読書日記を閉じたいと思います。

《「何があったらできるか」「やったらどうなるか」を考える習慣をつけることです。そして、行動によって得るべきものは、大きな達成感や他人から認められる喜び、他人を幸福にする喜びです。それを繰り返し味わううちに、子どもたちは人生の究極の目的は何なのかを知るのです。》

《自分を観察するというのは、成長した人間だけにできることです。イヌやネコは、「今、鳴こうとしている」と自己観察できませんし、また、赤ちゃんも、ギャーと泣きながら、「自分は火のついたように泣いている」とは思いません。ですから、自己観察できるのは、人間、それも大人の証といえます。逆にいえば、感情のままに子供を叱ったり、怒鳴ったりする親は、大人になりきれていないといわれても仕方ないでしょう。》

《「起こってほしくないこと」が起こらない人生は、幸せかもしれません。しかし真の幸せは、「起こってほしいこと」が起こる、あるいは起こせる人生のはずです。》

《夢は人を勇気づけます。そして行動を喚起します。子どもの夢を尊重し、大切に育むことが、その子の将来を切り拓き、日本の将来を切り拓くことになるのです。》

《コーチングは”魔法の杖”ではありませんが、上手に使えれば、素敵な魔法のような力を発揮します。ぜひ、挑戦してください。》
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(2006年当時、たびさんにもらったサイン)